見出しは少しミスリーディングで、私も引っかかってしまいました。え?スーパーマンってロイス・レインとのロマンスも軸の一つで、それ以外の人と付き合うの?と。実際にはスーパーマンであるクラーク・ケントとロイス・レインの息子のジョン・ケントがバイセクシャルということでした(ツイッターを見るとアメリカ人も同様の誤解をしている方が多いです)。ちなみにお相手は日系人のようで、ジェイ・ナカムラとキスをする描写があるとか。
 

これについての反応に関して少し書いていきます。


バイセクシャルというのはもちろん、男性でも女性でも恋愛対象となるということです。まだLGBTへの理解はそこまで広がっておらず、一般の人でも性的マイノリティとしてカミングアウトすることに躊躇する世の中ですので、スーパーヒーローであるスーパーマンの息子がバイセクシャルだというのは、賛否両論になるのもしょうがないかなという印象です。受け入れられないという方は残念ながらまだまだ多いですからね。

とはいえ実際の世界でもそうなのですが、「認められない」という声が出てくるのは残念としか言いようがありません。認められなくてもバイセクシャルの人間は存在します。自分たちの周りにはそういう人はいない、という方はカミングアウトするとデメリットしかない相手、と認識されているのかもしれません。「ポリコレを意識しすぎ」という声もありますが、どちらにせよ創作の世界では、ある程度現実世界と同じ設定にしないと説得力がありません。このスーパーマンの設定も現実世界の状況を取り込んだ、と見なすことができるのではないでしょうか。

「これまで息子のジョンがバイセクシャルという描写もなかったのに」という声も出ている様子です。言うまでもなく、LGBTであることを子供の頃から意識できている方もいれば、成人してから認識する方もおり、この性的指向の認識の時期は人によって全く異なってきます。ジョンが認識したのがこのタイミングだった、と考えても全く論理的に破綻している訳ではありません。むしろ子供の頃に性的な描写をしようものなら、別の意味で問題となりそうです。

「この流れが必然なのか?」「面白いならいいけど」という声に関してはこれはその通りだと思います。LGBTのキャラクターをストーリーの中で色々と動かして、面白い流れを作ることができるのか、という点はエンターテイメントなので必然です。ただ単に男性とお付き合いしているだけ、というのであれば、上記のポリコレに従っただけで意味がない感じてしまう方も出てきてしまいます。今後の流れが日本で報道されるか分かりませんが、きちんとしたストーリーテリングに期待したいところですね。

正直自分を含め、意見を言っている方のどれだけの人がスーパーマンのコミックを読んでいるのか、という点は疑問です。日本で報道されたので、脊髄反射的に反対意見を述べているだけの方も多いように思います。ただ、報道の仕方に関してはもう少しどうにかできないかなと思いました。タイトルだけを読むとスーパーマン本人がバイセクシャル設定に「変わってしまった」ように思えるようにしていたり、本文でもやたら「配慮」という言葉を使っているためにポリコレに屈したように見えたりといった内容になってしまっています。

まだまだLGBTの理解は先だと感じざるを得ない反応が多いですが、そんな中でも歓迎している意見も出ていることに喜びを感じました。皆さんはどう感じましたか?